Stephan Eicher “Les Chansons Bleues”

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今回は、スイスのシンガーStephan Eicher (ステファン・アイヒァー)をご紹介します。彼は、仏語、独語、英語、伊語、スイス独語、ローマン語で駆使して、同じ曲を時々違う言語で歌っようなシンガーです。まぁ、そんな彼のバイオグラフィーを少し書いておきます。
 Stephan Eicherは、スイスBern近郊のMünchenbuchsee(ミュンヘンブーフゼー)で生まれ、父親も音楽家でした。Eicherは、スイスの国際寄宿学校であるエコール・デュマニテで教育を受け、チューリッヒ美術アカデミーで音楽教育を受け、そこでコンピュータを使った作曲法を学んでいます。1980年には、兄のMartinと共にアルバム”Grauzone”に収録された最初のシングル”Eisbär”をリリースしています(ここら辺は以前にGranzoneの所でもう少し詳しく書いてあります)。その後、1983年に、Stephan Eicherは、Jacques Dutronc (ジャック・デュトロン), Georges Brassens (ジョルジュ・ブラッサンス), Serge Gainsbourg (セルジュ・ゲンズブール)らの歌に影響を受け、また、Patti SmithやJohnny CashやBob Dylanにもインスパイアされて、本作品でもある、ファースト・ソロ・アルバム”Les Chansons bleues”をリリースします。その後の2枚のアルバムで、彼の名声は確固たるものになり、1985年にリリースされたアルバム”I Tell This Night”とシングル”Two People in a Room”で、このアルバムはスイスのチャートで最高10位を記録し、12週間チャートインしています。その2年後、アルバム”Silence”は3位に達し、スイスのトップ10に14週間ランクインしていますが、どちらのアルバムも、彼がほぼ独力で制作しています。1989年作アルバMy Place”では、方向性を変えて、仏語の歌詞は、友人で作家のPhilippe Djian (フィリップ・ジャン)が書いています。彼の最大の商業的成功は、1991年のアルバム”Engelberg”で、スイスで5週間1位、合計46週間チャートインしています。その中の曲”Déjeuner en paix”は、仏でも2位になっています。この作品から、Manu Katché (マヌ・カチェ)とPino Palladino (ピノ・パラディーノ)との共同作業が始まり、1996年のアルバム“1000 vies“まで続きます。その後のアルバムも、スイスのアルバムチャートで定期的にトップ5に入っており、アフリカでのコンサートを含むワールドツアーの後、1994年に初のライブアルバム“Non ci badar, guarda e passa“を制作しています。
2001年に、Eicherは初のベストアルバム”Hotel*s”をリリースしていますが、長年、スイスのEngelberg (エンゲルベルク)にあるHotel Hessは彼の第二の故郷でもあり、ホテル経営者夫婦の息子Martin Hessは、彼の親友であり、プロデューサーでもありました。このホテルで、アルバム”Engelberg”と”Louanges”が制作されています。Eicherは、同年に取り壊されたこの豪華なホテルへのオマージュとして、”Hotel*s”というタイトルを、公式ホームページを参考にファンに選んでもらったとのことです。
 以上が、Stephan Eicherのバイオグラフィーとなります。まさか、Granzoneと関係していることは、すっかり忘れていました!本作品は、先述のように、Eicherのファースト・ソロ・アルバムに当たりますが、クレジットが余り書いていなくて、誰が実際演奏しているのがは、不明ですが、多分、殆どがEicher本人でしょう。また、A面は全曲Eicherが作曲していますが、B1は、スイスのパンクバンドKleenex/Lilliputのメンバーが、B4では、ベーシストKlaudia Schifferle(別名Klau Schiff)が作曲に参加しており、B2は、スイスのニューウェーブバンドThe Sick /Mother’s Ruinのドラマーによる曲で、B3は、米国The Righteous Brothersの1964年のヒット曲のカバーです。また、ゲストとして、Astrid SpiritことLilliputのVoのAstrid Spirig (Vo [A2, B2]), Jeanne (Back-Vo [B1]), SylviaことMother’s Ruinの Sylvia Holenstein (Back-Vo [B1]), スイスのプロデューサーでもあるVoco Fauxpas (B [B3])が参加しており、プロデュースは、NYの99 Recordsを運営するEd BahlmanとEicher本人が行っています。それでは、内容の方をご紹介していきましょう。なお、本アルバムは、2003年にリマスタリングされて、仏レーベルからCD再発しており、その際、1曲ボーナス曲”Noise Boys”も加え、ミックスも変更されており、A面はかなり印象が変わっています)。
 先ず、A面は、可愛らしい鉄琴とクリーントーンのGの奏でる切な気なメロディに、思い入れたっぷりなVoが乗るA1から始まり、細かいアコギのリフからツービートアップテンポなリズムに雪崩れ込み、全体的に、エレクトロ色の強い80年代ニューウェーブ風に仕上げたA2, スライドGとピアノに”Go! Go! Go, Johnny! Go!”と歌い、やはりアップテンポのノリの良いロッケンロー風に仕上げたA3, ドラムマシンにピアノやストリングス・シンセやアコギ等の演奏を乗せ、仏語で切々と歌う感動的なA4から成ります。
 B面は、鋭いGのカッティングとドラムマシンにシーケンスと女性コーラスが印象的なB1で始まり、ダブ的ミックスも施されています。シンセとドラムマシンにピアノを加え、仏語で切々と歌うB2 (Gainsbourgっぽい曲です), Human Leagueも1stアルバムでカバーしている曲で、エレクトロ色の強い簡素な編成で、思いっ切り歌っているB3, 割とアップテンポのリズムで、クリアトーンのGとシンセをバックに、仏語で切な気に歌うタイトル曲でもあるB4で、締めています。
 実は、もっとシャンソン色が強いのかなと思っていましたが、B面等は特にニューウェーブ色(特に1980年代)の強いアレンジが施されており、ちょっと意外でした! それにフレンチ・ポップの影響やA3のようなカントリーへの憧憬も感じられて、結構楽しめました! やはり音楽一家で育ったのが幸いしているのか、どの曲もポップで、それでいて、一捻りのあるアレンジで、彼の才能が感じられます!1980年代ニューウェーブ・ファンの方には、激お薦めアルバムです!!

A1 “Sweetheart” (4:55)
作曲: Stephan Eicher
A2 “Les Filles Du Limmatquai” (4:29)
作曲: Stephan Eicher
A3 “J.B.G.” (3:17)
作曲: Stephan Eicher
A4 “La Pièce” (5:00)
作曲: Stephan Eicher
B1 “Nice” (3:41)
作曲: Klaudia Schifferle, Lislot Hafner, Marlene Marti
B2 “Tu Tu (A Little Time With You)” (3:20)
作曲: Markus Tränkle
B3 “You've Lost That Lovin' Feelin'” (4:36)
作曲: Barry Mann, Cynthia Weil, Phil Spector
B4 “La Chanson Bleue” (6:15)
作曲: Klaudia Schifferle, Stephan Eicher

B1 “Nice” (3:41)
https://youtu.be/BqvPU4bnARw?si=LcsVExzr41hMcEKY

[full album + α (remastering version]
https://youtube.com/playlist?list=PLiN-7mukU_RFhhztAxH7XRMXCHezoR42I&si=cYxKTPCTk56FpY6n

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