第52回蜥蜴忌 旧ソビエト連邦製を装ったイカサマ肋骨レコードによる「まぼろしの世界」唄と演奏)ザ・ドアーズ
若い時分の様に、この7月3日という日付に対する拘泥はさすがに減退しています。39年前の初墓参は今でも大切な想い出であり、ニューミュージックマガジンに手記なんか投稿しちゃったりして赤面の一幕、しかしその後も何度も足を運びました。ということは、やはり今もって特別な1日ではあるのかなと思っております。楽曲は1966年8月にシンガーとギターリストによって書かれ、翌年の9月23日に米国ビルボード・ホット100では12位をマークしたヒット曲。邦題は「まぼろしの世界」です。人間とはいったいなんなのか?という命題をあまりにシリアスかつ愚直に考え続けた若き詩人の、生涯を貫いたひとつの大きなテーマを、しかしそれにしては非常にあっさりとした小品にまとめあげた佳曲。しかしながら今もって、よくぞこういう曲がヒットシングルとして成立したものだという、当時の米国の世相に対する驚きは払拭できませんな。1950年代から60年代のはじめあたりまで、旧ソビエトでは廃棄処分するべき患者のレントゲン写真をソノシートとして流用、当時のソ連では非合法な西側のヒット曲を劣悪な音質ながらカットして闇のマーケットで海賊盤として取引していました。現在では肋骨レコードと呼ばれているものです。これはその1枚ということなのですが、考えてみれば1967年のヒット曲、さすがに「肋骨レコード」はすでに製作されなくなっていたのでは。つまり、これはジョージアの人から買ったものでありますが、観光地の絵ハガキソノシートさながらの、旧ソ連時代へのノスタルジックなお土産品のテイを装った、実はずっと後年に作られた物好きの為のアイテム。そう見るのが妥当でしょう。米国で同曲が発売された際のプロモポスターと一緒にしておけば、なんとか体裁は保てるかと思ったものですからそうしてあります。#jimmorrison #thedoors
サイケデリックロック
肋骨レコード
プライベート・カウンターフィット・レントゲン写真
揖斐是方