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『スペイスド』 ソフト・マシーンの『カーニヴァル・オブ・ライト』か。
1,2,5,6,7,などどれも好きなアルバムですが、個人的にベストなのがこの妙なデザインのジャケットによる本盤です。すでにエアーズの姿はなく、ヒューとブライアンの二人のホッパーと、ラトリッジ、ワイアットによる四人編成での1969年録音。ラウンドハウスで行われた「スペイスド」というタイトルのマルチ・メディア・ショウの為に録音した長時間の演奏を編集したテープ・ミュージックです。イベントでは彼らの生演奏はなく、この音楽が流されたためにライブを期待していたファンには不評だったとか。本来のソフト・マシーンの音楽よりも、はるかにチャンス・ミュージック寄りのアプローチです。そして、こういうものを聴くと、やっぱり1966年末の同種のイベントの為に創られた前衛作品で、十数分に及ぶ、「アンソロジー」には収録されなかった、初期ザッパからの影響も指摘される、あの「カーニヴァル・オブ・ライト」の全貌がどうしても気になるのです。ソフト・マシーンのがこうしてリリースされたのだから、ビートルズのも、というわけにはいかないか・・#beatles #softmachine
サイケデリックロック 音楽CD CUNEIFORM揖斐是方
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「リンゴ追分」と「金の指輪」 ニーナ・シモンの「リトル・ガール・ブルー」
1950,60年代には日本とアメリカのレコード会社で、互いの流行音楽の情報交換としてレコードを送りあっていたという話を聞いたことがあります。半世紀以上前ならばそれは容易に考えられるわけで、ただ、こちらは向こうのものを参考にしまくったはず笑なのに対し、向こうはこちらのものなどあまり役にたたなかったのではと思われますが。日本コロムビアから1952年5月に発売されたのが美空の「リンゴ追分」、対してニーナ・シモンのこの名作とされるファーストは、録音が1957年、リリースされたのが1959年。米国ベツレヘム・レーベルから。アール・バローズ(ジョージ・ストーン)作のPLAIN GOLD RING、邦題「金の指輪」が収録されています。この両曲が似ている。似ているというよりも、率直な印象は、やったなと笑。日本から送られてきたひばりの「追分」に大きくインスパイアされて書かれたのが「金の指輪」なのではないかと、日本の流行歌が先という、とても稀有な例として。但し、ベツレヘムというレーベルは当時の日本での配給はコロムビア系列じゃなくキングがどこかだったはずなので、その辺の経緯はわかりませんが。あるいは私の全くの見当違いかもしれず、事実関係も含めてこの二曲をめぐる話に詳しい方がいらしたら、ご教示願いたいと思っています。#Ninasimone #美空ひばり
ジャズ 音楽CD ソリッド揖斐是方
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ナウ・ヒア・イズ・ノーホエア/シークレット・マシーンズ
テキサス出身のサイケデリック・パワー・トリオのデビュー作。2004年発表。米国では注目された新人バンドとして一定の評価を得たものの、徐々に活動は先細りとなり、紆余曲折の末に現在は二人組となりました。久々に新作を出して活動は継続しているようですが、かつて日本盤もセカンドまでは出ましたし、サマー・ソニックに出演していたわけですから、そこそこのものだったとは思いますが、今では本盤、中古で三桁というわけです。 2007年の映画「アクロス・ザ・ユニバース」ではボノのバックで「ウォルラス」、単独で「フライング」や「ブルー・ジェイ・ウェイ」を担当していました。写真二枚目は、ファーストからの米国盤DVDシングル・カット。このバンドの特徴はとにかくジョシュ・ガーザによるダイナミズムあふれる力強いドラミング、そこにスペイシーかつサイケなシンセやギターが乗り、ポップなメロディが歌われる。ただ、長続きするだけのコンテンツに乏しかったということでしょうか。21世紀初の見どころのあるバンドかと期待はしていたのですが。#psychedelic #サマーソニック
ロック 音楽CD ワーナーミュージック・ジャパン揖斐是方
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シンギング・アンド・プレイング/ラリー・カールトン
1973年リリースのセカンド・アルバム。クルセイダーズに加入以前の、国内盤では初の作品だったと思います。 いうまでもなく、随所で素晴らしいソロを聴かせるわけですが、当時はすでに若きセッション・ミュージシャンとして大活躍でした。ジョー・サンプルやマイケル・オマーティアンを迎えたこのアルバムは、後年のフュージョン・ギタリストとして大成する以前の記録というわけです。山下達郎の英詞を担当して有名なシンガー・ソングライター、アラン・オディ作の名曲で、ステッペンウルフやスリードッグナイトなどカヴァー・ヴァージョンも数多い「イージー・エヴィル」のクールな感触、流麗なソロが印象的な好盤です。#larrycarlton #山下達郎
ロック フュージョン 音楽CD MCAビクター揖斐是方
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追悼・小松政夫『デンセンマンありがとう』 しらけ鳥音頭/友川かずき
特にわざわざ買い求めるまでもないほど、イヤというほど耳に入ってきたこの番組のこの曲、桂三枝に伊東四郎、なによりも鬼才小松政夫、お馴染み過ぎる面々。1977年の夏がオリジナル発売です。このアルバムで特筆すべきは、「しらけ鳥音頭」のオリジネイター、友川かずきのフルレングス・レコーディング・ヴァージョンが収録されていることでしょう。幾多の作品を70年代よりリリースし続けている友川さんの、おそらくここでしか聴けないレア音源とでもいいましょうか。「別にたいしたものじゃありませんよ」という氏の声が聞こえてきそうですが笑、とにかく珍しい。かつ面白いものはしょうがない。#友川かずき
愛唱歌 音楽CD ソリッド揖斐是方
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アン・ボー・マタン/アレスキ ブリジット・フォンテーヌ ジャック・イジュラン
1970年発表のファースト・ソロ。サラヴァ・レーベルのピエール・バルー人脈での重要人物であり、フォンテーヌ、イジュランとのコラボレイションはあまりに有名な鬼才がこのアレスキです。本作はジャケットが示す通りのアシッド・サイケデリック・ミュージックとして語られるべき異色の作品だと思いますけれども、あまりそういう話は聞きません。声とパーカッションがメインの、極めて静謐な印象を与える作風。スピリチュアル・ミュージックの最高峰と帯には書かれています。音数はとても少ないアルバムなのですが、妙にイマジネーションを掻き立てる異色作です。#ジャック・イジュラン #ブリジット・フォンテーヌ
サイケデリック/アシッド 音楽CD オーマガトキ揖斐是方
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ゴースト・ダンス/マイケル・ジャイルス、ジェイミー・ミューア、デヴィッド・カニンガム
元フライング・リザーズの鬼才、カニンガムと、元キング・クリムゾンの二人、ジャイルズとミューアが組んで 製作した映画のサウンド・トラック盤です。1995年の発表。この顔合わせならば、ほぼ間違いないと思って聴いてみたのですが、期待値が高かったのか、そうでもなかった笑。硬質で冷たいインプロビゼイションが続くのですが、もしもこれが70年代のうちにアナログで録音されていたなら、その時代性やミュージシャンたちの才気の点で、さらに良くなっていたのではと思われます。ミューアとカニンガムの奔放さを、ジャイルズが制御し過ぎている印象。ただし、太陽と戦慄の冒頭そのもののミューアのパーカッションなどは堪能できるのですが。#kingcrimson #flyinglizards
映画音楽 実験音楽 音楽CD voiceprint揖斐是方
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虚鐸 西村虚空
自作の長い管による楽器「虚鐸」を演奏する西村虚空の1964年の録音です。これはヨーロッパ盤のCD。単なる「尺八」とは別物とされるそうですが、この人はあのワイルドな法竹の海童道と同じく、自らを単なるの尺八奏者とは定義していなかったようです。だのでおそらくその世界では敵も多かったであろうこうした方々の、このうさん臭くもロックな姿勢が好ましいのです。サイケデリックのリスナーは必然的に世界の民族音楽や土俗的でエスニックな音楽へアプローチしていくものですが、この人のこのアルバムも世界のアシッド・ミュージックとしての文脈の中で紹介されていることで知り、聴く気になりました。いろいろな聴きかたがあるでしょうが、非常にサイケなメディテーション音楽として機能しているのは確かです。#尺八 #海童道
サイケデリック/アシッド 音楽CD ?揖斐是方
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ヘンドリックス「ミッドナイト・ライトニング」 アラン・シュワルツバーグの労作
公には完全に黙殺・封印され、リリースはなかったものにされたヘンドリックス70年代のアルバム群は、現在、わざわざひっぱりだして聴くような人も少なくなったのではないでしょうか。これはもっとも悪評の高かった一枚かもしれません。しかし、現在改めて聴いてみると、主役のギターはともかく、そのテープにあわせて遮二無二バックをつけさせられたミュージシャンたちの、涙ぐましい仕事ぶりに感心してしまいます。特に名ドラマー、シュワルツバーグのこのアルバムでの奮闘ぶりは素晴らしい。今のように素人でも簡単に音楽を編集できるわけもない、まだなにもかもアナログだった時代に、よくぞここまでまとめたとしかいいようのない演奏です。#jimihendrix
ロック 音楽CD ポリドール揖斐是方
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アダモより愛をこめて/アダモ日本語アルバム (1972)
昔は、クイーンもポリスもシカゴもジミー・オズモンドも皆、日本語による曲を発表していました。アダモなどはその代表的なアーティストでしょう。13曲の有名なレパートリーを岩谷時子らの歌詞で歌ったアルバムです。「雪が降る」「夜のメロディー」などは当然ですが、サイケデリック時代の佳曲「明日、月の上で」や「海のマリー」も収録。シャンソン歌手としてというよりも、むしろ傑出したシンガー・ソングライターとして評価すべきでしょう。数年前の来日公演は残念ながら中止になってしまいましたが、この偉大なシンガーの作品は全世界が記憶しています。#安井かずみ #岩谷時子 #なかにし礼
シャンソン フレンチ・ポップス 音楽CD 東芝EMI オデオン揖斐是方
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寺内タケシ大賞
寺内大将を追悼して、「だからナンなんだ!!」収録の本作を。1990年リリースのいつもどおりの時流にのせた安易な企画盤ですが(失礼)、これは当時テレビで人気の「ものまねオールスターズ」のビジーフォーや清水アキラが寺内大将の楽曲を推薦し、それを収録しているという趣向。なんだかわかりませんが、モト冬樹あたりが発起人かもしれません。しかしなによりも重要なのはラストに登場する「だからナンなんだ!!」という、大将渾身の自伝的名曲、問答無用・頑固一徹・天上天下・唯我独尊 HeyHeyTERRY GO!と歌われる、そして弾きまくられるこの曲、まさにエレキ一代男のテーマでした。#寺内タケシとブルージーンズ #寺内タケシとバニーズ #ビジーフォー #清水アキラ
企画物 音楽CD キング揖斐是方
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セフローニア/ティム・バックリィ
勿論「スター・セイラー」「ロルカ」「ブルー・アフターヌーン」の大ファンではありますが、それはそれとして、1973年リリースの、いわゆるホワイト・ソウル・ファンクと称される、しかしとてもオプスキュアな(笑)時代のバックリイもどうしても捨てがたいものがあります。とにかく「ハニー・マン」のフアンキーなグルーヴにやられました。テレビ出演時でも唄っていますので動画を検索していただければ。このアーティストの才能、活動時期よって変容していく多面性に対して正当な評価はまだなされていないのではないでしょうか。紙ジャケットであろうとなかろうと、どうしてすべてのアルバムがいまだにきちんとリイシューされないのか、理解に苦しむところです。#timbuckley #jeffbuckley #fredneil
ロック 音楽CD ポリスター揖斐是方
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Live Albuquerque NM USA 1976/Bad Company
高額でも、金さえ払えばなんとか入手できるレア盤と、プレミアはついていないがどこをどう探しても見つからないレア盤とがあります。これは後者でした。ミック・ラルフスのフライングで世に出たもののポール・ロジャース側が差し止めて回収・廃盤。個人的には最良の時期のライブだけに、入手ができないと知った時にはがっかりしました。なんとなく渋谷のHMVで他の色々なアルバムを探していた時に、定価でだしぬけに現れた一枚、すでに入手はできない時期だっただけに、あの時の驚きと達成感は忘れられません。まだここで待っていてくれたのか!と感激もひとしおでした笑。今では本作は確かジャケットとタイトルを変えて再リリースされているはずですが、こちらのオリジナルはやはり特別な意味を持っています。#badcompany #free #livealbum #回収盤
ロック 音楽CD エンジェル・エア揖斐是方
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ザ・ショッキング・ブルー ライヴ・イン・ジャパン
1972年にポリドールが発売したライヴ・アルバムのシーデー化ですが、国内盤は出ていないと思います。しかしこれも、いかにも高音質の高いフィジカルのテイで、それ風のケースに収められているものの所詮はブートレッグでしょう。もしもそうじゃないならば驚きですが。最初と最後に「ヴィーナス」、その間に「グッド・サリー」「明日に向かう道」「悲しき恋心&鉄道員」「ショッキング・ユー」など日本でも大ヒットした懐かしの楽曲が披露されています。そして当然、ウケているのです。悲しき日本人。なぜなら、当時は誰も彼等が筋金入りの日本嫌いのバンドだとは知らなかった。ザッパさながらの「俺たちは金の為だけに」の仕事だったのでしょう笑。当時はたいしたいいとは思わなかったのですが、今聴いてみると、ヴォーカルもさすがはロマだけあってパワフルだし、ソング・ライティングも頑張っていて、もっと評価されてもいいとまではいいませんが、忘れられないバンドのひとつではありました。いくら嫌われていても。#CD #liveinjapan #shockingblue
ロック 音楽CD RED BULLET揖斐是方
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チャーリー・ワッツのプロデュース PEOPLE BAND 1968
メル・デイヴィス(p)リン・ドブソン(ts)トニー・エドワーズ(dr)ら総勢10名からなるフリー・インプロヴィゼイション・ジャズ・バンドのアルバムです。1968年10月1日にロンドンのオリンピック・スタジオで録音。これは1970年に出たオリジナル盤アナログに3曲の未発表マテリアルを加えたもので、ローリング・ストーンズのファンには有名な、チャーリー・ワッツがプロデューサーをつとめたアルバムです。68年のストーンズといえば、ああいう時期でありまして(笑)、まあジャズ好きなワッツとしては妥当な活動ではあったのでしょう。ミュージシャンが自由にセッションを楽しむ趣旨の番組では、れっきとしたジャズ・ドラマーとして出演していたワッツですが、結局そこでもジャズにアレンジした「ホンキートンク・ウィメン」などをやっちゃていました・・・ #therollingstones #freejazz
ジャズ 音楽CD EMANEM揖斐是方