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一柳慧・追悼 IMPROVISATION SEP. 1975 w/ 小杉武久 マイケル・ランタ
10月7日に逝去された一柳氏を追悼するにあたり、「エロス+虐殺」か「オペラ横尾忠則」か迷ったのですが、本作を思い出しましたのでこれに決定。「演っている本人達だけがとても楽しいジャンル」(そういうことを言ってはいけない笑)でお馴染みのフリー・インプロヴィゼイション物です。75年9月26日にNHKのスタジオで録音された音源で、プロデューサーの上浪渡氏のライナー・ノートによると、マイケル・ランタと小杉武久が10種を超える民族楽器、打楽器、ラジオ、エコー・マシンを使い、一柳はピアノ、リング変調器を使ったとのこと。当然ですが彼らは皆、演奏というよりも音響発生ツールとしてこれらを使い、このインプロヴィゼーションに取り組んでいます。当時NHKのチーフ・ディレクターを務めていた上浪氏の「楽譜という定量化された音楽情報が、特に視覚を通じて得られる情報が、本来聴覚に頼らなければならない音楽情報をどれだけ不正確にし、音楽を不自由にしたか」という指摘はまさに正論と言えるでしょう。わけなどわからなくてよい、ただ響きを体感すること。この手のレコードはそれに尽きると思いますけれども、如何なものでしょうか。内容は「タージ・マハール旅行団」を、よりソリッドにした印象、これもわかったようなわかんないような話ですが笑。LPは300枚、CDは1000枚の限定リイシューのようです。一柳氏が生涯試みた野心的で壮大な音楽・音響の実験。六年間の小野洋子との結婚生活もまた極めてスリリングな実験生活だったのかもしれません。合掌。
実験音楽 LP, CD PHOENIX揖斐是方
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ワグナーの孫かエニドのゴドフリーかどちらでもないのか。ドン・ブラッドショウ・レザーの『ディスタンス・ビトゥイーン・アス』
90年代にロンドンでオリジナル盤を買いそびれて以来、いちいち拘り続けてきたアルバムが先日初の日本盤発売。 最初はプアハウスだかが作ったとされる私家版の紙ジャケット、次がロシア盤ブートレッグCD、その次がTシャツ、次がアナログでのリイシュー、そして日本盤公式リリースのCD。非常に似たタイトルを持つアルバムを発表したエイドリアン・ワグナー(あのワグナーの孫)の、デモ段階の音源との説や、エニドのロバート・ジョン・ゴドフリーの変名プロジェクトとの噂(本人が否定したとのこと)もありましたが、現状は明確な身元が割れていないらしいです。ピアノ、パーカッションも交えたメロトロンを主とした長尺の実験音楽。1972年の自主製作盤。一応は英・プログレッシブ・ロックの文脈で語られるようですが、やはり麻薬でも喫しながら聴くのが正しいと言えるのかもしれません笑い。つまりそれほど、「そういうタイプの」奇盤であります。しかしながら、アーティストやレコードそのものの持つわけのわからなさや掴みどころのなさ、そして何よりも胡散臭さ、これらが備わっているととても面白いですね。
実験音楽 CDR CD LP Tシャツ ベルアンティーク揖斐是方
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フライング・リザーズのデビッド・カニンガム。『グレイ・スケール』 演奏上のミスを録音した奇盤。
あの低予算録音『マネー』でお馴染みのフライング・リザーズの鬼才、デビッド・カニンガムが1977年にリリースしたソロ・アルバムです。オフィシャルCD化はされていないのでは。独自の音楽上の理論「エラー・システム」に則り、演奏者が演奏中にミスをした場合、その偶発的ミスに軸足を移して音楽を変化させていくという試みです。基本的にはミニマル・ミュージックといっていい手触りの音楽なのですが、やはりチャンス・ミュージックとして の実験性が面白い。ただし、基本となる楽曲そのものが遊び心あふれるミニマル的インストルメンタルなので、「ミス」の瞬間からわかりやすく音楽が変化していくというものでもなく、そのあたりは微妙です。ただし、全編を通してアンビエント・ミュージックとしての快適さは備わっています。#generalstrike #flyinglizards
実験音楽 LP, Album piano揖斐是方
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アール・ブリュットの提唱者、ジャン・デュビュッフェが録音した音楽。
生の芸術・アール・ブリュットの提唱者であるデュビュッフェは様々な録音物も残しており、これは1961年に録音された実験音楽。エクスペリメンタル・ミュージックとして重要な一枚になるのかもしれません。音を使って衝動と情動の赴くままに抽象画を描くといった趣で、当然後のロックのフィールドでもたくさんのフォロワーを生んだわけです。ここに収録された作品の原盤は10インチだったそうです。#アール・ブリュット #CDアルバム #実験音楽 #エクスペリメンタル
実験音楽 CD マンダラ揖斐是方
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小杉武久 『グループ音楽』の限定CD
日本初の集団即興音楽を始めたグループ、「グループ音楽」の限定500部でリリースされたcDです。 録音は1960年5月8日と61年9月15日。前者はメンバーの水野修孝の家で、後者は草月会館ホールでのライブの録音、全3曲収録。当時東京芸術大の学生だった小杉武久が中心となって活動していた彼らは、当然、のちのタージ・マハール旅行団の前身と言ってもいい存在ではないでしょうか。楽器だけではなく椅子や電気掃除機までを音源として、そこにテープなどによるコラージュを用いるなど、およそ「そちらの系統」では考えられる限りの定番を早くも実践しています。 そして実は当時こそ、最も先鋭的で過激で先進性に富んだ音楽実験が行われていたのではないかと思います。ネオ・ダダ、フルクサス、草月会館、などのキーワードは60年前の方が豊かな余裕の或る「未来」だったのではと思わずにいられません。#小杉武久 #タージ・マハール旅行団 #CD
実験音楽 CD HEAR揖斐是方
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XTC アンディー・パートリッジの限定ソロ・アルバム
特にXTCファンではないのですけれども、デュークス・オブ・ストラトスフィアの大ファンではあるし、偶然インターネットで見つけたこのアルバム、限定500のサイン入りで送ってくれるというし、購入して見ました。すると、非常に面白い電子音楽。装丁の示す通り50年代あたりのパルプ・サイエンス・フィクションの架空サウンドトラックですか。パートリッジが才人なのは知っていたけれど、やはりなかなか面白い作品に仕上がっています。#XTC #限定盤 #CD #電子音楽
実験音楽 CD そんなに高くない揖斐是方
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全曲無音 ジョンとヨーコ ロバート・ワイアット アンディ・ウォーホル 『サウンズ・オブ・サイレンス』
他にジョン・デンバー、スライ・アンド・ファミリー・ストーン、ホワイトハウス、ウェスト・コースト・ポップ・アート・エクスペリメンタル・バンドなど計30アーティストの曲を集めた奇盤の500枚限定リイシューLP。大胆にも「静寂の響き」S&Gのジャケットにステッカーを貼付してあるだけで、すでにロクなもんじゃないと思わせるに十分。接客中に大音量でかけても全く邪魔にならない楽曲ばかりです笑。全曲、ジョン・ケージの件の奇曲のカバーというのかコピーというのか、とにかくここには無音の短い「コンセプト」によるだけの作品しか収録されていません。当然、盤面には送り溝もあって、次はだれのどの曲になったかが目認できる。そこがケージの あの曲をCDで聴くのよりは愉しいといえるでしょう笑。ドングリ夫婦の「沈黙の二分間」は有名だけれど、こんなにも数多くのアーティストが「無音」を作品化していることに驚きます。タイトルどおり、両面を大音量で聴いても、せいぜいアナログ盤特有のいろいろなノイズだけがでかくきこえてくるだけ。フランス盤。#アナログ・レコード #ジョンとヨーコ #オムニバス盤
実験音楽 LP, Album 高くない。揖斐是方
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エンニオ・モリコーネの名盤。
1967年米RCAビクターのステレオ盤、シュリンク・ラップ付き。タイトルは「ザ・プライベート・シー・オブ・ドリームス」アーティスト名はイル・グルッポ。知る人も知らぬ、あの「イル・グルッポ・ド・イムプロヴィゼチョーネ・ヌオウヴァ・コンサナンザ」が「イル・グルッポ」名義で米リリースしたサイケデリック名盤。 ジャケットも素晴らしく、同グループのアルバムはすべて収集したが、これ以上の色気のあるサイケなアカバーはありません。巨匠エンニオ・モリコーネがメンバーとして参加しているイタリアの実験音楽集団。#サイケデリック・ロック #実験音楽 #アナログ・レコード
実験音楽 LP, Album RCAビクター揖斐是方