角川書店 角川文庫 仮面舞踏会 第1期

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昭和五十一年九月十日 初版発行
昭和五十一年十月十日 三版発行
発行所 株式会社角川書店

昭和49年(1974年)に書き下ろし作品として講談社より刊行された横溝正史の長編小説「仮面舞踏会」。
富裕な避暑客で賑わう夏の軽井沢で起こった青酸カリによる毒殺事件。被害者は映画界の大スター・鳳千代子の3番目の夫だった男で、しかも過去2年の間には1番目と2番目の夫だった人物も変死していた。千代子の現在の恋人で、財界の大立者・飛鳥忠熈の依頼で名探偵・金田一耕助が事件解決に乗り出す...
様々な紆余曲折があって、構想から十余年の年月を経て書き下ろされた、横溝正史晩期の代表作の一つですね。夏の軽井沢が舞台ということもあってか、“岡山もの”のようなおどろおどろしさは無く、そうかといって“東京もの”のような淫靡で退廃的なムードも無く、横溝作品特有の“アクの強さ”には欠けるものの、読み進めていくうちに明らかとなる真犯人の正体と事件の真相にはやはり横溝作品ならではの手応えがあり、個人的には昭和20年代に書かれた本格探偵小説群にもひけを取らない作品だと思っています。角川文庫には昭和51年(1976年)に収録されました。
画像は昭和51年(1976年)に角川書店より刊行された「角川文庫 仮面舞踏会 第1期」です。物が歪んだり、変形して見える鏡に映ったかのような女のおぞましい顔。まさに劇中で描写された真犯人の顔を具象化した表紙画ですね。杉本氏は表紙画を手掛けるにあたって必ずその作品を読み込むそうですが、そんな杉本氏の手法・手腕が遺憾なく発揮された傑作表紙画の一つだと思います。

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