角川書店 角川文庫 悪魔の降誕祭

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昭和四十九年八月十日 初版発行
昭和五十一年十月十日 十版発行
発行所 株式会社角川書店

昭和33年(1958年)に雑誌「オール讀物」に掲載され、その後、約3倍の長さに改稿された横溝正史の中編小説「悪魔の降誕祭」。
金田一耕助の留守中にその探偵事務所を訪れた依頼人が何と毒殺されてしまうという、衝撃的な展開で知られる横溝正史の佳品ですね。ジャズシンガーやピアニストが登場する華やかな芸能関係の世界を描いたこの作品、ドロドロとした“血の因縁”や猟奇的な殺人描写といった横溝作品特有の“アクの強さ”には欠けるものの、ミスディレクションの巧みさや犯人の意外性などに目を見張るものがあり、個人的には純粋な謎解きものとして優れた作品だと思います。
本書には表題作の他に「女怪」「霧の山荘」、“金田一耕助シリーズ”の短・中編2編が併録されています(「女怪」は短編ながら金田一耕助の“恋”を描いていることで有名な作品ですね)。角川文庫には昭和49年(1974年)に収録されました。
画像は昭和51年(1976年)に角川書店より刊行された「角川文庫 悪魔の降誕祭」です。雷鳴轟く巨石遺構のような場所、そして、迫り上がった女の顔。モチーフは不明瞭ですが、強烈なインパクトを放っている画柄です。

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