角川書店 角川文庫 蝶々殺人事件 第1期

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昭和四十八年八月十日 初版発行
昭和五十年十一月五日 八版発行
発行所 株式会社角川書店

昭和21年(1946年)に雑誌「ロック」に連載された横溝正史の長編小説「蝶々殺人事件」。
オペラ歌劇団の主宰者にしてプリマドンナの原さくら殺害事件を描いた横溝正史の代表作の一つですね。そして、戦前の作品で活躍した、金田一耕助と並ぶ横溝ワールドもう一人の名探偵・由利麟太郎の戦後初登場作品であると共に、実質的な最終作となった作品でもあります。物語はF・W・クロフツの「樽」を意識した本格ミステリーで、横溝作品特有のおどろおどろしい怪奇趣味は無いものの、その分、純粋な謎解きものとして秀逸な作品です。それにしてもこの「蝶々殺人事件」、あの「本陣殺人事件」とほぼ同時進行で書かれた作品ということでも知られていますが、本当、この時期の横溝正史のバイタリティというか、旺盛な創作意欲には凄いものがありますね。
本書には表題作の他に「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」、“由利麟太郎シリーズ”の短編2編が併録されています。角川文庫には昭和48年(1973年)に収録されました。
画像は昭和50年(1975年)に角川書店より刊行された「角川文庫 蝶々殺人事件 第1期」です。女性の全裸死体と、その周りを舞っているカラフルな蝶々。小説のイメージとは異なりますが、杉本表紙画らしく煽情的で、それでいて初期表紙画独特のアート風味も感じられます。

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