東映株式会社映像事業部 角川映画 蔵の中 パンフレット

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企画/発行・東映株式会社映像事業部

昭和56年(1981年)に公開された映画『蔵の中』のパンフレットです。
『悪霊島』と二本立てで公開された作品で、昭和50年(1975年)に公開された『本陣殺人事件』で横溝作品の映画化ラッシュの口火を切った高林陽一が、再び横溝正史の世界に挑んだ意欲作ですね。
原作の『蔵の中』は横溝正史が戦前に書いた短編小説で、この時代の横溝作品は戦後に書かれた一連の金田一ものとは趣が異なり、耽美趣味・草双紙趣味のテイストが濃厚に出ているのが特徴。中でも『蔵の中』は、戦前横溝を代表する名作『鬼火』と並ぶノンシリーズものの代表作の一つであり、純探偵小説ではありませんが、物語の構成に“仕掛け”が施されていて、ミステリーファンも唸らされる作品となっています。そんな『蔵の中』を、“怪奇・幻想・ミステリー”のジャンルに造詣の深い桂千穂が脚色、高林監督独特の映像美と相俟って、妖美な世界観を見事映像化しています。
胸を患い、薄暗い土蔵の中に暮らす姉役に当時、“ニューハーフ”として話題になった松原留美子。個人的には、当時買った角川文庫版(『蔵の中・鬼火』)の杉本一文の表紙イラストが真行寺君枝に似ているなぁと思ったので姉役は真行寺君枝のイメージだったのですが、このキャスティングも倒錯感が出ていてなかなか良かったと思います。ちなみに『本陣殺人事件』で金田一耕助役を務め、『蔵の中』では磯貝三四郎役で出演している中尾彬はなんと同時上映の『悪霊島』にも出演、それぞれで存在感を発揮しています。

#蔵の中 #高林陽一 #松原留美子 #横溝正史 #角川映画 #東映 #パンフレット

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    woodstein

    2021/10/26 - 編集済み

     私が劇場で『悪霊島』を観たときは、一本立てでした。

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    • B6cf967ebcafa336fe0b5e970ad6d9c2

      dape_man

      2021/10/26

      地域によって違ったんですかね?

      https://ameblo.jp/kanamemayo/image-12653263273-14888340204.html

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      woodstein

      2021/10/27

       最近はどうなのかはわかりませんが、東京では一本立てで公開されている映画が地方だと二本立てになっている、というのはよくあったことで、この時は『悪霊島』と『蔵の中』がそうだったということですね。私は『蔵の中』はロードショーでは観ることができませんでしたが、『悪霊島』の上映とほぼ同時期に公開されていたのは憶えています。ちなみに、『悪霊島』は日比谷映画劇場、『蔵の中』は有楽シネマだったかな。この「地方では二本立て」の件については、いずれ何かの機会にもう少し詳しく触れてみたいと思います。

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    • B6cf967ebcafa336fe0b5e970ad6d9c2

      dape_man

      2021/10/28 - 編集済み

      東京では『悪霊島』一本立てだったのですね。そういえば'83年のお正月、東京の映画館で母親とアガサ・クリスティー原作の『地中海殺人事件』を観たのですが、一本立てで、確か地方だと『ランボー』と二本立てだったので、なんか損した気分になった記憶があります(笑)

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  • Animals 16

    Jason1208

    2021/10/26 - 編集済み

    CSの日本映画専門chで観ました。
    冒頭の磯貝三四郎のもとに送られてきた創作とも実話とも判別つかない話に、江戸川乱歩の「人間椅子」を連想しました。

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    • B6cf967ebcafa336fe0b5e970ad6d9c2

      dape_man

      2021/10/28

      いわゆる“入れ子構造”ですよね。『蔵の中』は乱歩の『人間椅子』と、耽美主義的な部分は谷崎潤一郎からの影響が大きいと思います。

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