講談社コミックスなかよし ドクターGの島

0

昭和53年8月5日 第1刷発行
昭和55年6月30日 第11刷発行
発行所 株式会社講談社

江戸川乱歩の『孤島の鬼』を高階良子がコミカライズした、講談社コミックスなかよし(KCなかよし)の『ドクターGの島』(月刊少女漫画雑誌「なかよし」昭和49年4月号~昭和49年8月号連載)です。
齢三十前にして白髪の老人のような容姿と化した青年・蓑浦金之助が体験した世にも恐ろしい奇怪な出来事を、彼自身による回想録という形で描いた『孤島の鬼』。謎解きに冒険譚、そしてフリークス趣味に男色趣味など、“乱歩らしさ”がギッシリと詰まった長編作品ですが、高階良子はおおよそ少女漫画には不向きだと思われるこの作品に果敢にチャレンジ。少女漫画らしく主人公は青年・蓑浦金之助から女子高生・美杉小夜子に変更され、その結果、男色趣味はオミットされてはいますが、物語の流れ自体は割と原作に忠実で、『孤島の鬼』もう一人の主人公ともいうべき諸戸道雄(これはそのまま)の主人公に対する一途な愛が同性愛と異性愛の違いこそあれ、しっかりと描かれているので、原作を知っている読者にも読み応えのあるものに仕上がっているのではないでしょうか。乱歩作品のコミカライズ3作目(しかも、その間には横溝作品のコミカライズも2作品ある!)となる高階先生のアレンジの素晴らしさが光る傑作です。

#ドクターGの島 #孤島の鬼 #江戸川乱歩 #高階良子 #なかよし #講談社

Default