講談社コミックスなかよし　血とばらの悪魔

昭和50年3月10日　第1刷発行
昭和56年6月19日　第23刷発行
発行所　株式会社講談社

江戸川乱歩の『パノラマ島奇談』を高階良子がコミカライズした、講談社コミックスなかよし（KCなかよし）の『血とばらの悪魔』（月刊少女漫画雑誌「なかよし」昭和46年11月号～昭和47年2月号連載）です。
長年夢想してきた自分の理想郷を建設することに取り憑かれた男の暗い野望と破滅を描いた『パノラマ島奇談』。孤島に建設された人工楽園を舞台に、めくるめく狂気と妖美が乱舞する江戸川乱歩の代表作の一つですが、高階良子はこの原作における「主人公とその妻」の関係を「兄妹」に置き換え、少女漫画の読者層にも受け入れやすいようアレンジし、実に上手くコミカライズ。なんとラストの人間花火までしっかりと描かれています。
とはいえ、あくまでも少女漫画なので、乱歩の変態性とイマジネーションが爆発した原作を読んだことがある方にはやや物足りないかも知れませんが、それでも'70年代初頭に少女漫画雑誌で『パノラマ島奇談』をやろうという高階良子先生はやっぱり凄いと思うのです。

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