講談社コミックスなかよし 真珠色の仮面

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昭和50年11月5日第1刷発行
発行/(株)講談社

横溝正史の『仮面劇場』を高階良子がコミカライズした、講談社コミックスなかよし(KCなかよし)の『真珠色の仮面』(月刊少女漫画雑誌「なかよし」昭和47年11月号・12月号連載)です。
ガラスの棺に入れられ、生きながら水葬に付されようとした盲聾唖の三重苦の美少年、慎一郎(原作では「虹之助」)。大富豪の令嬢、大道寺あゆ子(原作では「大道寺綾子」)は、そんな彼の境遇を憐れに思い、自らの屋敷に引き取ったが、その直後から、彼女と慎一郎の周囲で恐ろしい連続殺人が起こる...、三重苦の少年の名前が現代風になっていたり、ヒロインの設定が未亡人から若い令嬢に変わっていたり、そして何より金田一耕助と並ぶ横溝作品もう一人の名探偵、由利麟太郎が完全にオミットされていたりと、少女漫画向けにかなり改変されてはいますが、原作のキモである“草双紙から抜け出してきたような”妖しく、神秘的な三重苦の美少年のキャラクターがしっかりと描かれ、世界観の基本線は大きく外していないので、原作を知らない読者はもちろん、原作を知る読者にも読み応えのあるものとなっています。
原作の『仮面劇場』は、昭和13年に「サンデー毎日」に連載された戦前の横溝作品ですが、その頃の横溝作品は、戦後に書かれた本格派探偵小説の金田一物とは趣向が違っていて、作風に耽美的・草双紙的な色合いが濃厚なのが特徴。そんな原作のテイストを高階良子が上手くすくい上げ、少女漫画独特の“ノリ”と画風で見事にビジュアル化してるんですね。個人的にも、原作よりも先に読んだこともあって、こちらのほうが思い入れが強かったりします。

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