明暗の鳥獣戯画展

初版 2021/05/13 23:05

改訂 2024/02/27 17:34

東京国立博物館で開催の「鳥獣戯画展」に行って参りました。

この展示を知ったのは、2月頃に書店のチラシで。
美術館チェックをほぼしていない私ですが、これまでもポツポツと、関心向けば行く…という感じで。

今年はコロナ禍で事前予約制。
まぁ行けるかどうかわからないけど、
一応狙ってみよか?わりと最近もやってたよねぇ~という記憶。

そう、2015年に同じくココで鳥獣戯画展をやっていました。

友人が見ようとしたものの、
3時間待ち!であきらめた・・・と聞いてた記憶が浮かびーの😲

確かに国宝で有名だけど、そこまで並ぶ?笑)と、思ってたんですよねぇ。
【4巻一挙公開】

今回は期間通しで4巻全てが公開…ということで心が(欲がw)動きました。

予約開始は4月から。
1日遅れてチェックしてみると、あら?!ほとんど完売しちゃってるワォw(゜o゜)w

というわけで取れたのは
4/24(土)夕方17:00からの回。

つまりその日のラスト。
今思うと、これが緊急事態宣言直前の、ホントにラストな回…になるとは。。。💧

直前になるまで行こかやめよかと思いながら、でもキャンセルしたら取れないかもしれないと思い(^^ゞ

結果・・・行ってみて良かった!
素晴らしかったです(´∀`)

まず本物見るのはこれが初めてというもの。
しかも4巻全ては、得難い展示に思えました。

子供の頃は教科書で、
大人になっては現地の高山寺に行ったことがあるも、そこに展示はほんの一部で、しかも複製版。

雑誌や本でも目にできるので、
そこまで見なくていいかなと思ってましたが、やはり実物を見られるのは感慨深かった。
【鳥獣戯画の内訳】

この鳥獣戯画(=鳥獣人物戯画)は
京都・高山寺(こうさんじ)の所蔵で4巻の巻物。

時代は12世紀、平安末期から鎌倉時代の作。

時は源氏や平家が台頭し、
後白河院が院政を敷くダイナミックな頃であります。

それぞれ甲、乙、丙、丁と分かれていますが、決して優劣順ではないとのこと。
甲巻は代表的にシーンがよく引用される巻。
教科書に載り、さまざまな媒体やグッズになるウサギやカエル、猿などが風俗行事、相撲、追いかけっこで戯れ…
なシーンはこの甲巻になります。

乙巻
は、さながら動物図鑑のような感じ。
馬や牛、犬やニワトリなど国内で見られる動物。後半には麒麟、獅子、象や龍などの霊獣が載ります。

丙巻
は、前半に人物画で囲碁や庶民の遊び、闘鶏、闘犬などが描かれ。
後半は、カエルや猿などが祭りや風俗に興じ…という場面が描かれます。
墨のタッチが薄いですが、興味深く楽しげな内容。

丁巻は、さながら“ゆる絵”スケッチの集合体みたいな感じ。
人物描写がメインで、一筆書きのようなザックリした楽しさあり。前面に出てこないのもわかる雰囲気ですが、おかしみのある世界です。
【今回の目玉】

博物館として力入ってたのは、
最初の甲巻を見るのに、動く歩道を取り入れたこと。

確かに!この試みはいいと思いました。
皆が皆、最前列で見ることできますからねぇ。

というのも、
とかく国立博物館のビッグな展示の場合。

展示ガラスの前に人が2重3重にも重なり、ほぼ前列で見ること叶わず・・・という過去の記憶w

人多過ぎて。。。。。( ̄д ̄)エー💧

大徳川展といい若冲展といい(ビッグすぎる??笑)展示は素晴らしかったんですけど。

前回の鳥獣戯画展でも、最高で6時間並んだというんです。

驚きました。6時間…ムリ;;;😂

若冲展では、
2回目のとき4時間並んだ私ですが;;;あれもすごかった(正確には美術館が違いますが)(◎-◎;)

という…そんな過去ふまえると、
今回は初の試みとはいえ、とても良かったんではと思います。
展示をゆるりと観れるのは満足でした。
【貴重な断片】

元となる巻物の一部を模写(=描き写し)した模本。

巻物では欠けてるが残された断片(断簡と言う、平安時代の本物)なども展示されていました。

模写といっても400年以上前のだったり、江戸時代だったり…それなりに年月が経ち、資料としては貴重なもの。

おそらく最初の頃は巻物にはなっていなかった…?鳥獣戯画。

途中で紛失したり、順序が抜けたりといった歴史を経ており。

模本は、
巻物の全てが残されているわけではありませんが、とある場面の…ありし絵の姿や順序を伝えており。

今では模本にのみ残され、原本にないシーンなども、、、

そんなわけで、
かつての絵の順序と照らし合わせるのに、これらは貴重な資料というわけです(コピーは残しとくもんだねw)

甲巻の一部だった断簡(抜粋)。
神事として行われていた、競べ馬を描いたシーン。ウサギの耳引っ張って妨害しようとするサルが楽しww

糊づけされておらず、断簡として残る貴重な原画そのもの。

また名の知れた絵師が模写したのもあり。

のちの時代に鳥獣戯画がある種…
お手本のように参考にされてたことをうかがわせます。

まずは真似から…発想のヒントが得られるわけですねぇ。
【図録もすごい】

図録も気に入ったのは買うようにしてるんですが、今回のは厚みもさることながら、充実した内容になってました。

全4巻が実物大で載ってるからです。
惜しみなくド・アップ!笑)それで3000円なり。

最初、料金にもビックリだったですが、
おそらくは専門書並みに載った絵図でこの料金…お得なんでは?
と思っちゃいましたワ😆

で、図録を眺めて思うんですね…
あれ、このシーンってそういう場面だったの!

というような発見がいろいろと…
後から( ̄▽ ̄;)

これは甲巻最初のほうに出てくる、
鼻を押さえて水に飛び込もうとするウサギ・・・という場面。

え?そういう意味なんだ、みたいな笑

現地で、名場面には極力説明がついてたんですけどねハハ😅
【誰が何のために?はナゾ】

ところでこの絵巻物、例えば甲巻…。

動物たちが当時の風俗で描かれる様子は、
海外の目線で見ると“痛烈な風刺画”と評価されるようですが、
図録の解説では、それはちょっと違うのでは?とのコラム。

私にもなんだか同じ意見に思えましたね。
風刺か皮肉…そういう側面もあるかもしれません。

が、むしろそれより生き生きと楽しげで愉快な彼らの姿。

祭りや行事、遊び、喜怒哀楽、ギャグめいた要素も大いにあり。

それらに興じる生き物や人々の姿には、不安な時代だったにもかかわらず、逞しさが感じられ。

当時の人が動物に姿を仮託し、しかも眺めて楽しむのも人のほう。

あえて小動物を擬人化したのは…
日本人の自然への思いや、遊び心みたいなもののほうが強く感じられるなぁーと、私の目にも映った。

描き手は、だいたい5人ほど挙がってるそうな。


・甲巻の前半

・甲巻の後半+乙巻(筆跡が似てる)

・丙巻の人物戯画

・丙巻の動物戯画

・丁巻の描き手


ですが、
それも正しいかどうかはわからないそう。

ただ、有名な甲巻では前後で絵が少し違うようで…

おそらく最初の描き手が書き、続く者が描写を似せて描き~
という感じで、絵を足していったと思われるも、前半後半のどちらが先に描かれたか?はナゾ。





さて、
翌日から緊急事態宣言とは知ってたものの、まさか美術展示にまで及ぶとは、想像してなかったんです。

なもんで、それ以降はバッサリ切られてしまった…🤦‍♀️

という感が否めないも、
解除されたら是非また、あるいはそう遠くないタイミングで再度開かれる形になればいいなぁと思いま、、、🙇‍♀️

と。。。思ってたら、なんと再~~開!?😲

と。。。言ってたら、やっぱ閉館!😵

になってしまいました。

でも博物館としてもこれは不本意なはず…でしょうから、きっと機会あることと思っています。

※図録の通販こちらで受け付けております^^

数に限りがあるとのことですんでお早めに~~(朝日新聞SHOP)

こちらでも扱ってるようです(博物館ミュージアムショップ)

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朝日新聞SHOP / 特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」図録

鳥獣戯画、全4巻全場面を「ほぼ原寸サイズ」で掲載。動物たちの生き生きとした姿を作品本来の迫力のまま、お楽しみいただけます。 また、鳥獣戯画の謎に迫る最新研究も多数収録され、論文解説と動物たちの筆使いを見比べながら、鳥獣戯画ワールドをご堪能下さい。 まさに鳥獣戯画の「すべて」を網羅する決定版!

https://shop.asahi.com/products/detail.php?product_id=1847

https://www.tnm-shop.jp/products/detail.php?product_id=1291

東京国立博物館 - ミュージアムショップ東京国立博物館ミュージアムショップ / 特別展 国宝 鳥獣戯画のすべて

https://www.tnm-shop.jp/products/detail.php?product_id=1291

こんな中でもしばしの癒しを…
本物であれ、図録であれ本であれ、この絵巻にはそんな魅力が宿っています😊
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fanta

切手集めはン十年以上、これまで集めた好きと興味の外国切手を載せています。・
今ではジャンル不問w派生して気になるデザイン、かわいい切手を求めて埋没中。・
トランプもコレクションとして関心あり(*^.^*)・
昭和レトロは後発組で進撃中😆

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    レイレイ

    2021/05/13 - 編集済み

    図録、表紙からして斬新なカラーと構図👏🐰
    これは欲しいかもです😄
    厚みを測っている定規も素敵🐰🐸
    コロナに振り回される日々…
    ぜひ、人数制限などありでも、イベント事は再開されるとよいです…

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      fanta

      2021/05/14

      Reireiさんそうなんですよね…
      人数絞って一切おしゃべりせず?
      今回は美術館側もいろいろ対策してたと思うんですが。。。
      んーーやはり難しかったのか…💧
      確かにグッズ売り場はだいぶ密!になっちゃってましたが。
      惜しむ声はたくさんあることと想像します。

      鮮やかに目を引く図録の彩り!女子受けしそうですよねっ♪😃
      図版のURL載せておきますね!まだ在庫あります。

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    nyamore

    2021/05/14 - 編集済み

    鳥獣戯画展行きたかったので、うらやましすぎます!
    この前解説本買ったばかりなのですが、その図鑑も欲しくなってきています🤣

    そして定規まで鳥獣戯画なのに笑ってしまいました。グッズが楽しいんですよね。
    私もノートやらLINEのスタンプやら揃えてしまっております・・・

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      fanta

      2021/05/14

      nyamoreさん、そうでしたか~~
      んーー返す返すも悔やまれますよね。。。💧

      本や雑誌などたくさん出てますね。
      私も何冊か読もうかと思っています(→帰ってきてからw)もっと詳しく知りたくなっちゃいまして。

      フフ、定規・・・
      しら~~っと載せちゃいました笑😁

      今回のではミッフィーとのコラボ、すみっこぐらしとのコラボグッズなど出ていました。
      ミッフィーのはもしかしたら、そっちのイベントでも扱ってるのかもです。

      図録、よろしければ通販のほう…ご覧くださいませ↑

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    0214seiji

    2021/05/14 - 編集済み

    う~ん、見に行きたいですね。

    なんの意味で書かれたのか?
    作者は誰なのか?
    あいはぎしてまで、なぜ4巻にしたのか?

    ?の多い画ですよね。見たい!

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      fanta

      2021/05/14

      seijiさん、ありがとうございます♪

      きっとまた、近いうちに計画してくれるんじゃなかろうかと?思いたいので…うん、大丈夫。また見れますよ😉

      あいはぎ…おぉ~ご存知ですねぇseijiさん👏
      確か丙巻の人物と動物部分がそうだと知りました。
      この巻物のナゾは、知れば知るほど深まるのが惹きつけられます^^

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      0214seiji

      2021/05/14

      あいはぎされたモノって見たことないので、それだけでも見たいです。

      和紙も技術も凄いですね。😁

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      fanta

      2021/05/14

      丙巻のはかなり、墨が薄かったです。
      紙の裏表だなんて
      どうやって剥がしたんだろう~?って想像しちゃいましたね。

      保全や修復の根気力など想像もできませんです😅

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      0214seiji

      2021/05/14

      漫画の中では全体を水に浸し、紙の真ん中(断面方向)に爪を入れて剝いでいました。
      漫画の中ではね、実際はどうやるんですかね?

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      fanta

      2021/05/14

      平成の修理から見えてきた新発見!
      みたいな書物が出てるようなんですが、けっこうな値段で、、少々中身が気になります😅

      これは国会図書館でチェックか?!笑

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    The Power of Oyaji

    2021/05/14 - 編集済み

    国会図書館のデジタルアーカイブ見てます。
    マイクロフィルム版なのでモノクロです。

    https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/966949

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      fanta

      2021/05/14

      国会図書館の・・・
      おぉ~その手もありましたね😄

      この巻物、もとがモノクロですんで、そう遜色はなさそうでしょうか。今でいうところの、甲→丙→丁→乙の順で並んでるようで。
      いくつか場面を端折ってるようです。

      大正十五年!古い書物~
      鳥羽僧正筆となってるところも時代を感じさせます(私もこの名で覚えてました😅)

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      0214seiji

      2021/05/14

      私も鳥羽僧正で覚えていました。( ´艸`)

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      fanta

      2021/05/14

      で・す・よ・ね笑😁

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    tomonakaazu

    2024/02/26 - 編集済み

    そうか、、
    このログを拝読し、そういう時期の稀有な展示だったことを今ごろ理解しました。

    ほぼ日刊イトイ新聞で、そういえば読んだことがあったな〜〜、と思い出し検索、発見。
    https://www.1101.com/n/s/takahiro_tsuchiya/2021-05-22.html

    動く歩道の設置もすごいですが、図録に実物大が載っているのも、驚きですねー。

    断簡(抜粋)の中の、画像2枚目の「競べ馬を描いたシーン」で面白いなぁ、と思ったのは、ウサギが乗っているのは馬ではなくてキツネでは?と。後ろに、ふさふさのしっぽが見えます。

    そして、気になり始めるとキツネが目に止まり、、。
    上のほぼ日の記事に出てくる画像で、キツネが尻尾に火を灯して松明のように使っている図を発見。火が点いてるのに、ニコニコしているし、、。なんだか、かつての作家たちの想像力はすごいですね。

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      fanta

      2024/02/27 - 編集済み

      お!tomoさんも記事で読まれてたんですね~♪
      リンク下さりありがとうございます。とても興味深く読みました😃

      特に“あいへぎ”された丙巻のナゾ…私は絵の違いばかり見てましたが、なるほど…。
      最初だからこその試みと考えれば、制作順序のナゾも読めますね。

      “あいへぎ”の形で甲巻のあとに来る…というのは、いかにも不自然ですし。
      丙巻ほか3巻…という江戸時代の表現は真実を突いてる気がする😊

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      fanta

      2024/02/27

      tomoさんおっしゃるように、
      猿が乗るのは鹿🦌、ウサギが乗るのはキツネですねー👏😁

      猿とウサギの体格差を、キツネと鹿で変化つけた⁇のでしょうか笑
      この辺の見立ても面白いですよね~。

      キツネの尻尾に火🔥は…
      “かがり火”に見立てたのではないかと。狐火なんて言葉もありますが。

      となると、これは夜のシーンなのか?という説もあるそうですが、不明なようです😅

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