番外編3 カナリヤレコード 1950年代
1950年代に、当時珍しかったピクチャー・ディスク(童謡のSP盤)を販売していた会社です。画像は実物写真と1955〜1957年のレコードタイムス誌のリスト、広告、ニュース記事です。当時、レコードだけではなく蓄音器(カナリヤベビーホーン)も販売していたようです。最後の企業プロフィールは、レコード年鑑1960年版(音楽之友社)に掲載されていたものです。このプロフィールを見ていて思うのは、「どうもこれは東洋化成(株)のことではないか」ということです。
東洋化成について簡単にご紹介しますが、創業以来現在に到るまで一貫してアナログ・レコードを製造している会社です。一時期は、アナログ・レコードは東洋化成でしかプレスできない、という最後の一社になっていました。もちろん、レコード全盛時代も数多くのメーカーのプレスを受託していました。
ネットで調べてみると、「開運なんでも鑑定団」にこのカナリヤレコードと蓄音器が出品されたようで(2020年)、鑑定結果と共に「1953年に東洋化成が生産した」との鑑定士コメントが番組ホームページに掲載されていました。ですが、ここで新たな疑問も湧いてきます。東洋化成の創業は1959年ですから、1953年にはまだ存在していないのです。
そこで、直接東洋化成に問い合わせをしてみました。すると、「カナリヤレコードは東洋化成設立の前に作られた会社で創業者は東洋化成と同じ、その後も当時の東洋化成の隣に立地していた言わば兄弟会社だが、会社としては別ものだった」との回答を頂きました。
なるほど、兄弟会社とは言え、あくまで別企業ですから「カナリヤレコードを東洋化成が作った」という表現は適切でないわけですね。(60年前のことに関する問い合わせに回答していただいて、大変ありがとうございました)
まだまだSP中心のレコード店にあっては、記事にもある通り、フル・カラーのピクチャー・ディスクは大変人目を引いたことと思います。
続編はこちら
https://muuseo.com/chirolin_band/items/186?status_to=open
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