「海の祭礼」(文春文庫/吉村昭著)

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吉村先生お得意のジャンルの一つ、幕末通訳モノの一冊。

黒船来航より5年前に、意図的に日本に漂着したアメリカ人(※父はスコットランド人、母はネイティブアメリカンのチヌーク族)、ラナルド・マクドナルド。

当時、ネイティブ・アメリカンの祖先が日本人という説があり、それを信じたマクドナルドは日本に憧れを抱き、いろいろな経緯で「日本に行きたい」という思いを抱くようになり、1848年、捕鯨船の船員になって日本沿岸に近づき、船長にお願いしてボートをもらい単独で日本に辿り着く…。

彼が日本にとって「初めての英語教師」となり、その後の日本の通詞の英語力が発展、その中でも一番弟子であった森山栄之助は、後に外交の最前線で活躍する。

ラナルド・マクドナルドと森山栄之助の物語。

私も仕事で英語を使いますが、このような語学の先人たちがいて今があるのか…、と尊敬の念を抱き、これらの吉村先生の幕末の通詞モノは好きです。愛読書。

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