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smc PENTAX-DA 1:2.8 14mm ED [IF]
PentaxのAPS-Cセンサー用の超広角レンズです。発売時にはPentaxの超広角短焦点レンズとしては,もっとも広角でもっとも明るいレンズでした。 DA 14mm F2.8は2004年6月に発売されているので,デジタル一眼レフが本格的に普及し始めた頃の超広角レンズということになります。smc PENTAX-DAシリーズのレンズはデジタル一眼レフに対応した高解像度のレンズという位置付けですが,当時のカメラのセンサー画素数を考えると2020年代のレンズと比較するのはちょっと可愛そうです。2004年はPentaxからはAPS-Cサイズのセンサーを搭載したデジタル一眼レフとしては2世代目,610万画素の*istDSが市場に投入された年です。 APS-C専用の単焦点レンズとしては大きく重く,その後,2013年に登場したHD PENTAX-DA 15mm F4 ED AL Limitedが1段暗いものの小さく軽く,コーティングも進化していてDA 14mm F2.8の立ち位置は微妙になりました。さらに,2021年には35mm判換算21mmの画角としてはフルサイズ用のHD PENTAX-D FA 21mm F2.4 ED Limited DC WRが登場したことで,もっとも明るい単焦点レンズの座を明け渡すことになりました。 DA 14mm F2.8は大きく重い,ということに加えて,手持ちのAPS-CカメラがK-7で,ファインダーのキレがイマイチであったため超広角ではピントがつかみにくく,あまり持ち出しませんでした。本当はカメラのせいじゃなくて,横着だっただけなのですが。 さすがに古い時代のレンズらしく開放は甘いですが,当然のように絞れば普通に写ります。このレンズが登場した当時はこれが普通でしたし,特に不満もありませんでしたが,2020年代の開放からカリカリに解像するレンズばかり見ているとずいぶんと見劣りします。とはいえ,PKマウントのAPS-C用レンズとしては他に代わるものがありませんから,文句を言わずに使う,が正しいのだと思っています。 #レンズ #AF #smc_PENTAX-DA #PK #PKAF #Pentax #14mm #F2.8 #広角 #単焦点
AFレンズ PKAF PentaxMOR
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smc PENTAX-D FA 50mm F2.8 MACRO
Pentaxのデジタル,かつ,フルサイズ対応のマクロレンズです。2004年10月頃の発売だと思われます。Pentaxのフルサイズの一眼レフカメラは2016年4月発売のPentax K-1が最初のモデルですので,50mmマクロがなぜデジタル対応のフルサイズ向けとして,しかも2004年と云うかなりはやい時期に発売されたのか,謎です。2009年にはフルサイズ対応のデジタル向けマクロレンズであるD FA 10mm F2.8 macroも発売されていますが,いずれにしても2015年のCP+でK-1のプロトタイプが発表されるまで,フルサイズのセンサーを搭載したPentaxの一眼レフカメラはオフィシャルには存在しませんでした。 フルサイズセンサーのカメラの開発についてはMZ-S (フィルム一眼レフ)ベースの600万画素 のセンサーをもつカメラが2000年のフォトキナで発表されていますが,あまりにも高価になりすぎるという理由で2000年10月には開発自体の中止が発表されています。それにもかかわらずフルサイズ対応のマクロレンズを市場に投入してきた,ということはたぶん,フルサイズセンサーの一眼レフカメラの発売を真剣に考えていたのだと思われます。しかし,2008年にはHOYAに吸収合併され,さらにはカメラ部門のみが2011年10月にリコーに買収されて経営が迷走します。HOYAが欲しかったのはカメラ事業ではなかったはずで,リコーがPentaxのカメラ事業を買収したことは伝統あるPentaxのカメラ事業を生きながらえさせることにつながったため,結果としてよかったと思いますが,2000年代後半のPentaxはフルサイズの一眼レフどころではなかったことは容易に想像できます。 そんななかで将来のフルサイズ・デジタル一眼レフカメラを見据えてリリースされたこの50mm F2.8マクロにはPentaxの意地を感じさせるレンズだと思います。2022年時点で発売から既に17年近くが経過していますが,まだ現行モデルとして現役です。 小型軽量でありながら等倍撮影が可能で,近接から無限遠まで安定した性能のフローティングシステムの採用,AFの合焦後にMFが可能なクイックシフト・フォーカス・システム,ピント位置を固定するためのフォーカスクランプといった,多くの機能が盛りこまれており,開発時のPentaxの意気込みが感じられます。Aポジションつきの絞り環も装備されているので古いフィルムカメラでも使えます。というよりも,2016年にK-1が発売されるまでは,むしろ,フルサイズのイメージサークルを活かせるのはフィルムカメラしかありませんでした。 とても小さく軽いにもかかわらず19.5cmの最短撮影距離で等倍撮影ができますが,レンズが大幅に繰り出すため,被写体とレンズ先端の距離は5cmほどになります。フードが付属していますが,19.5cmまで寄るとレンズ前玉がフード先端とほぼ同じ面まで繰り出しますので,フードとしてはまったく機能しません。フードは横からの衝撃や被写体との衝突からレンズを保護するためのもの,という役割を期待されているように思えます。もちろん,風景などの遠景を撮る場合には,レンズの繰り出し量が小さいのでフードは正しくフードとして機能し,とても有効です。 ほどよいコントラストと色のり,近接から無限遠まで安定した描写など,古いレンズですが現在でもじゅうぶんな性能のレンズです。フィルム時代の標準レンズであるFA 50mm F1.4がオールドレンズ風味であるのとは対照的に現代的なレンズと言ってよいと思います。とはいえ,カリカリの解像度というわけではないので個人的にはとても気に入っています。こちらの展示物の写真のなかにはこの50mm F2.8 macroをPentax K-1 Mark IIにつけて撮ったものも少なからずあります。 このレンズによる作例を https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/smc%20PENTAX-D%20FA%2050mm%20F2.8%20Macro に置いています。 #レンズ #AF #smc_PENTAX-D_FA #PK #PKAF #Pentax #50mm #F2.8 #標準 #単焦点 #マクロ
AFレンズ PKAF PentaxMOR
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Ricoh GR III
フィルム時代のGRシリーズについてはRicoh GR1sにメモしたとおりですが,21世紀に入るとGRシリーズもデジタル化されます。2001年に登場したフィルムのGRシリーズ最後のGR1vから4年を経て,2005年10月にGR DIGITALが登場します。リコーではズームレンズ付きのコンパクトデジタルカメラをCaplioシリーズとして,単焦点の28mm相当の画角をもつレンズは高級機としてGRというラインナップで販売する戦略を考えていたようです。 https://muuseo.com/MOR/items/33 初代GR DIGITALは2005年10月に当時としては大きめのセンサーである1/1.8型813万画素を載せて登場します。この頃,私自身はリコーのCaplio R1 (2004年発売開始)を使っていましたし,フィルムのGR1sも持っていた(あまり使っていなかったけど)のでGR DIGITALにはあまり食指が動きませんでした。2年後の2007年11月に第二世代としてGR DIGITAL IIが登場します。センサーはごくわずかに大きくなって1/1.75型(1000万画素)に置き換えられます。さらに2年後の2009年8月に第三世代のGR DIGITAL IIIが登場し,センサーもさらにほんのわずか大きくなって1/1.7型(1000万画素)になります。「GR史上最高画質」が謳われていて,そりゃ,そうだ,と冷静に眺めてました。2011年11月には第四世代かつGR DIGITALシリーズとしては最後のモデルであるGR DIGITAL IVが登場します。センサーはおそらく基本的な変更はなく,この形としては十分な成熟に達したと思われます。 2013年4月に登場した第五世代のGRはもはやDIGITALが当たり前になったこともあってか,「ただの」GRを名乗って,かつセンサーをこれまでの1/1.7型CCDセンサーからAPS-CサイズのCMOSセンサーに変える,という大きな変更が行われました。またしても,「GR史上最高の写り」を標榜しての登場でしたが,そりゃそうだよな,という感じで正しく冷静に見てました。2015年7月にはWiFiなどを搭載して時代の要求にあうようにアップグレードされたGR IIが登場します。ほぼ2年ごとに更新されてきたデジタル版のGRシリーズはGR IIの後,長い沈黙の期間に入ります。新型の噂もないままに3年ほどが経過したころに「GR再始動」がアナウンスされます。かなり引っ張って2019年3月にようやくAPS-Cセンサー搭載としては第三世代,GR DIGITALから数えて第七世代のGR IIIが登場します。 GR IIではホコリが入ってホコリが写ってしまう,というようなトラブルも少なくなかったようですが,それに対応するために(ホコリ対策だけじゃないけど)センサーシフト方式の手振れ補正が採用されました。GR IIIでは内臓ストロボは廃止になりましたがサイズはGR IIに比べて小さくなりました。当然ながらこの時代のデジカメらしく,液晶タッチパネルや速いレスポンスなど,機能を限界まで取捨選択してスナップシューターとして必要なものだけに絞って小型軽量を実現しています。GR IIIは発売後も比較的高値安定を維持し,発売後2年以上経過してもマップカメラのランキングで10位以内に時折顔を出すということで売れ続けているようです。 GR IIIも発売からぼちぼち丸3年が視野にはいってきた2021年10月に突然GR IIIxという亜種が発売されることがアナウンスされました。GRシリーズ伝統の28mm (35mm換算)のレンズを40mm F2.8と少し標準域に寄せたレンズに変更しての登場です。カメラ界隈の噂にもまったくのぼっていないところで突然の登場に意表をつかれました。 レンズ交換式カメラに標準レンズをつけておいて,GR IIIやFujifilmのX70のような28mm固定焦点のコンデジを持っていけば全て事足りてしまう,というような気がしています。APS-Cセンサーのコンデジでは画質においてレンズ交換式カメラに劣るところは何もありません。凄い時代になったものです。 https://muuseo.com/MOR/items/30 #カメラ #レンズ一体型 #AF #GR #Ricoh #18.3mm #F2.8 #広角 #単焦点 #APS-C #デジタル
レンズ一体型カメラ Ricoh 4群6枚MOR
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smc PENTAX-FA 50mm F1.4
ペンタックスの標準レンズです。50mm F1.4という標準の中の標準ともいえるスペックのレンズですが,このレンズの起源は,前回の東京オリンピックが開催された年から1年ほどした1965年にリリースされたSuper Takumar 1:1.4/50まで遡ります。初期のSuper Takumar 1:1.4/50は6群8枚構成でしたが,その後に登場した改良版からは6群7枚構成の変形ダブルガウス(ウルトロン)型となり,FA 50mm F1.4に至るまで基本的な設計思想は変わっていません。もちろん,ガラスの組成が変わったり,コーティングやフォーカシングシステムの違いにあわせて少しずつ変化していることは間違いありません。 オートフォーカスのフィルムカメラ時代のペンタックスレンズは距離環のトルクはスカスカだし,全体にプラスチッキーな感じだし,チープ感全開でしたが,このレンズもその例に漏れないいささか残念な仕様です。マニュアルフォーカスカメラ時代のMレンズやAレンズの方がレンズとしての存在感があったように思います。 設計が古いレンズならでは,というような典型的な昔風味の写りです。開放ではとても甘く,ピントの山がよくわからないくらいです。f2.8あたりまで絞ると画面中央の解像度があがり,f5.6まで絞れば画面全体で解像感が感じられる描写になります。オートフォーカスが使えますが,光学系から言っても,写りから言っても完璧にオールドレンズの範疇に入るレンズです。 このレンズによる作例をhttps://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/smc%20PENTAX-FA%2050mm%20F1.4 に置いています。 #レンズ #AF #smc_PENTAX-FA #PK #PKAF #Pentax #50mm #F1.4 #標準 #単焦点
AFレンズ PKAF PentaxMOR