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COLOR-SKOPAR X 1:2.8/50
Voigtlanderのベッサマチック用COLOR-SKOPAR Xです。50mm F2.8の典型的な3群4枚のテッサー型のレンズです。Schneider-KreuznachでTessarを設計したかの有名なトロニエ博士がVoigtlanderに移籍後に設計したレンズで,デッケルマウント用のColor-Skoparは1959年から1967年までの間に20万本弱生産されたそうです。そのため,中古レンズは豊富にあり,状態のよいものを選ぶことができます。 デッケルマウントのレンズでは当たり前の最短撮影距離が1mという使いにくいレンズですが,作りは贅沢で真鍮(たぶん)の削り出しの精巧なマウントとアルミの短い鏡筒が美しく,小さいけれどもずっしりとした重みを感じます。 Voigtlanderは1756年に創業した世界最古の光学メーカーですが,1950年代中頃をピークに日本製のカメラにおされて業績は悪化していきます。1956年にはカール・ツァイス財団に売り渡され,1969年にはツァイス・イコンに吸収合併,1971年にはツァイスが民生用レンズの生産をやめることを決定したことに伴いローライに商標権を売却,1972年には伝統あるブラウンシュバイクの工場が操業を停止しています。そのローライも1981年には倒産しています。 1999年に日本のコシナがVoigtlanderの商標の通常使用権の許諾を得てかつてのレンズ銘で新しいレンズを開発,販売しています。Skoparもそのような新しいレンズに与えられた銘の一つです。ただ,レンズ銘は伝統あるものですが,レンズそのものは普通にコシナのレンズというだけで,かつてのVoigtlanderのテイストが感じられるかどうかは少し別の話のように思います。 この個体はシリアル番号から1963年製であることが推察され,デッケルマウントのカメラがまだ勢いがあった頃のものだと考えられます。ヤフオク!で入手しましたが,純正のスカイライトフィルタとかぶせ式の汎用品と思われるフードがついていました。コンディションは可もなく不可もなく,実用には特に問題はないものでした。 #レンズ #MF #COLOR-SKOPAR #DKL #Voigtlander #50mm #F2.8 #標準 #単焦点
MFレンズ DKL VoigtlanderMOR
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ALFINAR 38mm F3.5
オランダのOld DelftがスイスのAlpaカメラ向けに供給した準広角レンズです。製造数は600本ほどと言われています。かなりレアな割には人気がなく,市場ではそのレア度に比して比較的安価で流通しています。 典型的なtessarタイプの構成で非常に小さなレンズです。レトロフォーカスタイプにしないでバックフォーカスを維持したまま焦点距離を38mmまで短くしたというOld Delftの意地(?)が込められています。 この個体はマウント部のカメラに固定する爪がアルミ部材から一体で削り出されています。マウント部分に爪がネジで固定されているのがAlpaマウントの一般的なスタイルです。この個体のようなスタイルのマウントはごく少数の初期のAplaカメラ(マウントが異なる)用のレンズ以外では見たことがありません。なぜ,この個体が古い時代のAlpaカメラのマウントと同様のつくりで生産されたのか,つまり,アルミから一体で爪も削り出されているマウントがついているのかは謎です。 #レンズ #MF #Old_Delft #Alpa #38mm #F3.5 #広角 #標準 #単焦点
MFレンズ Alpa Old DelftMOR
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Kyocera SlimT
京セラのSlimTです。たぶん1992年の発売。もとをたどると1984年発売のYashica T AF-Dまで遡れるようです。シリーズの最後は2002年に発売されたKYOCERA T zoomになるようです。20年以上生き延びたシリーズということになります。 まだ学生で貧乏だった時(今もだけど)にちゃんと写るコンパクトカメラが欲しい,というかコンパクトカメラしか買えなかったときに,兎に角,レンズは良い,というので買ったのがSlimTでした。当時,京セラというかヤシカからでていたContaxカメラとその交換レンズはあまりにも高価で高嶺の花でしたが,同じCarl Zeiss銘でT*コーティングのTessarレンズがお安く買える,ということで飛びついたのです。その後,このカメラのシリーズは防滴構造とともにアングルスコープがついたT Proofやズームレンズを入れたT zoomがでたりしてなんだか迷走しますが,デジタルカメラの利便性には勝てず,市場から消えます。 最短撮影距離が35cmで寄れると言えば寄れますが,近接でのフレーミングやAFの精度はそれなり,ですし,リバーサルフィルムを使うようなカメラでもないので露出もアバウトでネガフィルムが大前提です。ファインダーには埃が入りやすく,ズボンのポケットに突っ込んで歩いていたらよほどポケットが汚かったらしくファインダーが埃だらけになってしまいました。それでもフレーミングさえできればよいので実用上の支障はありません。 高級感のカケラもないチープなプラスチックの外装ですが,電源を入れてレンズバリアの下からニュッとレンズがでてくると,それが高級品の代名詞であるようなCarl Zeissのレンズだ,というちょっとしたギャップが楽しいカメラでした。ズームレンズが普通になりつつあった時代に35mm F3.5というとてつもなく平凡な単焦点レンズ という潔さ。そのかわり小ささ,軽さを手に入れています。 当時,流行った単焦点の高級コンパクトカメラ,Contax T2, T3, Nikon 35Ti, 28Ti, Minolta TC-1など,当然のように買えませんでしたが,SlimTは外装のチープさを気にしなければ写りだけならこれらの高級機に十分対抗できる,と信じて使っていました。実際にはいろいろと足りないところ,というか製品としての割り切りがあるのでやっぱりなんだかなぁ,と思うところも少なくないのですが,それでもいろいろなところへ連れ歩きました。 #カメラ #レンズ一体型 #AF #Carl_Zeiss #Kyocera #35mm #F3.5 #広角 #単焦点 #35mmフィルム
レンズ一体型カメラ Kyocera 3群4枚MOR
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Macro-HEXANON AR 55mm F3.5
HEXANONのARマウントのマクロレンズです。ARマウントのマクロレンズはベローズ用の105mm F4を別にすると普通のタイプはこれだけだったと思います。単体での最短撮影距離は25cmで撮影倍率は0.5倍です,等倍リングとセットで販売されていたようで,このリングを使うことで等倍撮影ができる,というものでした。開放F値が3.5なのは無限遠の時だけで,撮影距離が短くなるとどんどん暗くなるようで,どのくらい暗くなるかは繰り出してくる鏡筒に刻印されています。レンズ単体での最短撮影距離ではF5.2まで暗くなるようです。ミラーレスで使っているとファインダーが暗くなるわけでもないので,まったく気がつかなかったりします。 2, 3枚目の写真は距離環が無限遠の場合と最短撮影距離の場合です。撮影距離が短くなると鏡筒がどんどん繰り出してきます。繰り出した鏡筒には開放時のF値が刻印されています。鏡筒先端には3.5と書かれており,最短撮影距離まで近づくと5という刻印が見えます。 レンズ本体を単体でカメラにとりつけると絞り環は3.5から刻印されている面が上にきて3.5からの刻印が見えるようになっていますが,レンズ本体のもともと下側だった部分にはF5.2から刻印されています。等倍リングにレンズ本体を取り付けるとカメラに取り付ける上下が逆になります。そのため等倍リングを挟むとF5.2から刻印されている部分が上側にきます。4, 5枚目の写真は等倍リングを挟んだときに上にくる側を見ています。等倍まで近づくと開放F値は7まで暗くなるようです。相当暗いです。 イマドキのレンズでは無限遠のときだけ開放F値が小さくて撮影距離が短くなると暗くなる,というようなものはあまり見たことがありませんが,昔はこういうレンズは珍しくなかったように思います。有名なCarl ZeissのFlektogon 35mmも(マクロレンズではないけど),そういうタイプのものが古い世代にはありました。マクロレンズの場合は,普通は三脚を使うべきものなので,暗くなってもあまり気にする必要はないのかもしれません。一眼レフの場合は,ファインダーが暗くてピント合わせがたいへんだったのではないか,と想像します。しかし,ミラーレスで使うならファインダーは勝手に明るさを調整してくれるし,感度を上げれば手ブレもある程度は抑えられますから,ミラーレスカメラのおかげでレンズの登場時には想像もできなかった使い方ができるようになり,本来のポテンシャルが発揮されるようになったのかもしれません。 このレンズによる作例は https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/Macro-HEXANON%20AR%2055mm%20F3.5 においています。 #レンズ #MF #Hexanon #AR #Konica #55mm #F3.5 #標準 #単焦点 #マクロ
MFレンズ AR KonicaMOR