- 0318 Museum
- 66F 古典屋続き 北原コレクション 京橋・エドグラン
- Motion Display 北原コレクション
Motion Display 北原コレクション
1920年代のアメリカは、第一次世界大戦後に訪れた空前の好景気に沸いていた。
アメリカこそが世界最高の国との意識が高まり、
そこかしこにお祭り気分が満ちていた。
高級自動車や家具、家電が飛ぶように売れる大消費社会の幕開けであり、
同時に、購買意欲を掻き立てる広告産業が花開いた時代でもあった。
色とりどりのポスターが街を飾り、
きらびやかなショーウインドウに並べられた品々が、道行く人々の目を引き、
その物欲をいやが上にも刺激した。
これに目を付けたのが、カルフォルニアの宝石商、べリンジャーであった。
1925年、べリンジャ―は顧客争奪競争を繰り広げていた宝石店にウインドウでスプレイのサービスを開始。
造形・装飾技術に優れたスタッフを雇い、
オリジナルの動くオブジェ、モーション・ディスプレィを製作したのである。
その際、べリンジャーの叡智は、
これを単に販売するのではなく、貸出したことにあった。
契約した店には、月に1度新しいデザインのディスプレィが届けられる。
返却されたモノは再度塗装を行い別の店で使用される。
すなわち今でいうリースである。
木やアルミで造られたオブジェは、すべてが電気仕掛けで動く。
そのモチーフは宝石と言う商品の性格上、
カップルが登場するものが多いが、
いずれも様々な工夫が施され実にユニークである。
ベリンジャー社は1925年から59年にかけて、
驚くほど多くの種類のモーション・ディスプレィを製作、
最盛期には、全米にネットワークを広げるほどの成功を収めた。
モーション・ディスプレィは、すべて非売品だったため、市場に出回ることは滅多になく、
現在ではコレクター垂涎の的になっている。
いずれも、動きは単調だが、それがかえって素朴で豊かな、雰囲気を醸し出している。
(北原氏の説明文を参考にしました)